大判例

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東京高等裁判所 昭和31年(ラ)55号 決定

本件記録添附の仮処分決定並びに不動産仮処分調書の各写によれば、東京地方裁判所が、昭和三十年七月十九日、「債務者の目録記載の土地に対する占有を解いて債権者らの委任した東京地方裁判所執行吏にその保管を命ずる。執行吏は右土地を通路として公衆の通行を許さなければならない。債務者は本決定送達後二日以内に別紙目録記載の土地に存在する木杭並びに鉄条網を撤去しなければならない。債権者らは債務者が前項の木杭並びに鉄条網を右期間内に撤去しないときは債務者の費用を以て債権者らの委任した東京地方裁判所執行吏にその撤去をさせることができる」旨の決定をなし、東京地方裁判所執行吏が昭和三十年七月二十日右決定の執行として、目的物につき債務者の占有を解いた上「該目的物件は債務者の占有を解き当職において保管中なるにより何人と雖も当職の許可なくして占拠すべからざる」旨を仮りに記載した公示書を各宅地内に打立ててこれが表示をなし、執行吏の現実の保管に移し前記決定の趣旨に基ずき右土地を通路としては公衆の通行を許可しその旨を公示書に附記したことが認められる。しかして、右事実によれば、執行吏は前記土地を保管するため債務者の占有を解いて自己の支配に移し、現実にこれを保管していることを明らかにするため右公示方法をとつたことが認められるから右公示方法は右保管を命ずる決定の執行とは別個の執行というものではなく、保管に伴う附隨的な措置であると考えることができる。仮処分の決定においては、保管を命ずると同時にその保管の方法につき定めることができるが、これを定めない場合においては、保管の方法については保管人に委かされたものと考えるべきであつて、これがため或は柵をめぐらして保管したり或は現実保管に係ることを公示して保管することは保管人が適当と判定するところに従い自由になし得るところといわねばならない。しからば、前記のように仮処分決定において公示方法をとるべきことを命じていない場合に、執行吏が公示方法をとつたからと言つて、違法なる執行とは言い得ないので抗告人の主張は採用し難い。

(岡咲 龜山 脇屋)

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